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新将棋アプリ「棋桜」の現状と課題を考える

 新たなオンライン将棋サービスとして登場した「棋桜」

リリース当日はダウンロード数1位、サービス開始直後の日曜日昼のSteam同時接続数は約500人を記録し、
将棋というニッチなジャンルを考えれば決して悪くないスタートを切ったと言える。

しかし、その一方で課金モデルや初心者定着の面ではいくつかの課題も見えてきている。

DL数1位や同接500は成功なのか?

Steam全体で見れば同接500人は決して大きな数字ではない。
しかし将棋ゲームとして考えると話は別だ。

将棋は競技人口が限られており、さらに既に将棋ウォーズや将棋クエストといった強力な競合が存在する市場である。

その中でサービス開始直後に同接500人を集めたこと自体は評価できる。

ただし本当に重要なのは現在の数字ではなく、3か月後や半年後にどれだけユーザーを維持できるかだ。

新作ゲームの多くは初動で人を集めるが、その後急速にユーザーが減少する。
今後の推移こそが棋桜の真価を決めるだろう。

課金モデルへの不安

棋桜の特徴として、対局数制限が存在しないことが挙げられる。

一方で、

・アバターガチャ
・棋譜解析機能

などが主な収益源となっている。

しかし、現在の利用者の反応を見る限り、
「無料で指せるのが良い」という評価は多いものの、
「キャラが可愛い」「ガチャを回した」「課金した」という声はそれほど多く見られない。

これは運営にとって少々危険な兆候でもある。

無料だから人が集まっている状態と、サービスに価値を感じて課金している状態は全く違うからだ。

もし利用者が無料対局だけを目的としているなら、ユーザー数が多くても売上には結び付かない。

アバター課金は将棋界隈に合うのか

将棋プレイヤーは一般的なソーシャルゲームのユーザーとは性質が異なる。

多くの将棋指しが価値を感じるのは、

・対局環境 棋力の近い相手と安定したマッチングが可能か?
・棋力向上 アプリを通じて棋力を高めることができるか?
・検討機能 自分の対局を振り返っての改善

これらが価値を感じるものであり、

・見た目 自分の使っているアバター
・衣装 アバターの着せ替え
・コレクション ランダムガチャで得られるアイテム

上記のようなものに関心は比較的低い傾向がある。

将棋ウォーズが長年採用してきた「月額課金+機能解放型」のモデルは、
このユーザー特性を反映した結果とも考えられる。

棋桜はアバター課金という新たな挑戦を行っているが、それが将棋ユーザーに受け入れられるかどうかは未知数だ。

棋譜解析課金の難しさ

棋譜解析機能についても課題がある。

本格的に将棋を勉強している層は既に様々な解析ツールを利用していることが多い
一方で初心者層は、そもそも棋譜検討そのものを行わないケースも少なくない。

つまり、「解析に最も価値を感じる層は既に代替手段を持っている」「代替手段を持たないカジュアルプレイヤー層は、解析への関心が薄く利用すらしない」 という構造になりやすい。

単なる最善手や評価値表示だけでは差別化が難しく、初心者向けの分かりやすい解説など独自の価値を提供できるかが重要になる。

初心者定着への懸念

個人的に最も気になるのは、登録時に棋力申告がなく全員が10級スタートである点だ。

将棋は実力差が極めて結果に反映されやすいゲームである。
初心者と有段者が同じプールで対局すれば、初心者が勝つ可能性はほぼない。

可愛いアバターやアシスト機能によって初心者歓迎の雰囲気を演出していても、実際の対局体験が一方的な敗戦ばかりでは定着は難しい。

もちろんサービス開始直後は人口不足の問題もあり、ある程度は仕方ない部分もある。

初心者が適正レートに到達するまでに何十局も必要となるようであれば、離脱率は高くなるだろう。

将棋ウォーズという巨大な壁

棋桜が直面している最大の問題は、将棋ウォーズの存在かもしれない。

将棋ウォーズは長年の運営実績を持ち、巨大なユーザー基盤を築いている。
ネット対戦ゲームでは人口そのものが価値になる。

いつでも適正な相手とマッチングできる環境は、新規サービスが簡単に追いつけるものではない。

さらに将棋ウォーズは日本将棋連盟との関係性も深く、ブランド力や信頼性の面でも強みを持つ。

まとめ

現状の棋桜は、「無料で指せる将棋アプリ」としては一定の評価を獲得している。

・アバター課金は成立するのか
・棋譜解析に需要はあるのか
・初心者は定着するのか
・無料ユーザーを課金者へ転換できるのか

しかし、現状では上のような課題も抱えている。

DL数や同接数字自体は悪くない。
問題は、その中にお金を払ってくれるユーザーがどれだけ存在するかだ。

今後の棋桜は、単に人を集める段階から「どう収益化するか」の段階へ移行していくことになるだろう。

サービス開始直後の勢いだけでなく、半年後にどのような姿になっているのか注目したい。