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タコピーの原罪を語る。タコピーの犯した過ちと成長とは?

注意)本記事は「タコピーの原罪」のネタバレを含んでいます。 

 

まず、『タコピーの原罪』におけるタコピーの過ちを一言でまとめるなら、
「人間を理解しないまま、善意だけで介入してしまったこと」 です。

◆ もう少し詳しくいうと…

【1】タコピーは「人間社会の複雑さ」を知らなかった

タコピーは「ハッピーを届ける」という使命感で動いていますが、
彼のハッピーはあくまで自分の星の価値観に基づいたものです。

だから、しずかちゃんのような心に傷を抱えた子供を前にしても、
表面的な「笑顔」や「ごっこ遊び」だけで問題が解決できると思ってしまった。

【2】ハッピー道具の乱用

彼が使う道具―記憶消し、タイムトラベル、変身など―は、
いずれも「便利だけど、責任を取れない力」なんですよね。

結果的に死者を出し、過去を改変し、誰の人生も良くしなかった。

たとえば記憶消しを使ったせいで、しずかやまりながさらに孤立する展開を加速させてしまった。

【3】善意は免罪符にならない

タコピーは「助けたい」という気持ちは本物でした。

でも、それが相手を傷つけたり、状況を悪化させたとき、善意だからといって正当化されるわけではないんです。

これは人間社会の倫理の難しさであり、「原罪」というテーマに繋がっています。

◆「原罪」とは何か?

「原罪」というタイトルにある通り、本作は「誰もが生きていく中で知らず知らずに罪を犯してしまう」という構造を描いています。

タコピーだけでなく、しずかも、まりなも、しずかの両親も、みんなそれぞれ罪を抱えている。

「タコピーの原罪」とは、
→ 理解せずに関わること
→ 善意で他人の人生を変えてしまうこと
→ 責任を持てない行動を繰り返すこと

そういった「無垢ゆえの罪」だと考えると、非常に重く、切ない作品ですよね。

 

『タコピーの原罪』におけるタコピーの成長とは?

これは単なる性格の変化や知識の獲得ではなく、「善意が他者にどう影響を与えるか」を痛感し、自ら責任を取ろうとしたことです。

■ 成長の3ステップで見てみましょう

【①:無垢な善意(序盤)】

「みんながハッピーになればいい!」
→ これは、タコピーが自分の星の常識や価値観でしか物事を見ていない段階です。

この段階では、
・記憶を消して嫌なことを無かったことにする
・タイムマシンで過去を改変しようとする

といった「表面的な解決」に終始しており、 それが逆に悲劇を深める結果になります

【②:自分のせいで人が傷ついたと理解(中盤)】

決定的なのは、しずかの死と、まりなとの関係の悪化です。

この時点でタコピーは、「自分が関わることで誰も救えていない」「むしろ、壊してしまった」と気づく。

ここで初めて、彼は自分の行動の重さに向き合い始めます。
→ それまでは「間違えたら記憶を消せばいい」と思っていたが、それが取り返しのつかない結果を生むことを知る。

【③:罪を背負う覚悟(終盤)】

最終的にタコピーは、自分が地球のルールを破って道具を使い、命を奪ったことを認め、法に従って罰を受ける決断をします。

これが最大の成長ポイントです。

◎ しずかやまりなを救うために「何かをしてあげる」のではなく、
◎ 自分のしたことの責任をとることで、2人の未来を守ろうとする。

これはまさに、幼稚な善意から「大人の覚悟」への変化です。

■ 成長の本質とは?

タコピーの成長は、
「何が正解か分からなくても、人の痛みに向き合うことを諦めなかった」
「責任から逃げずに、自分の行動の重さを受け止めた」

という、人間的な成長に他なりません。

彼はエイリアンだけど、「人間として一番大切なこと」を学んでいったんですよね。

■ だからこそ、タイトルは『タコピーの原罪』

原罪とは、知らずに犯してしまった罪です。

タコピーは最初から悪意で動いていたわけではない。
でも無知で、無責任で、未熟だった。

それでも彼は罪を罪として自覚し、贖おうとした
そこに、この物語の希望と救いを感じます。